小田原市立豊川小学校内装木質化














小田原市立豊川小学校内装木質化
本計画は、地域産材を活用して小学校の木質化を行うことで、教育環境の改善を行うとともに、地域産材の普及啓発の推進を目指しました。
地域の核となる小学校において積極的に地域産材を活用して地域に向けて情報発信を行うことで、一般における地域産材の需要が拡大して材の価値が高まり、ひいては地域の森林の継続的な保全につながります。
小田原市は地元の木材関係事業者による木材ストックが少ないことへの対応として、調達基金制度を使って地域産材を先行取得することで、安定した木材供給ができる体制づくりをしています。
一方、小田原市はアカネトラカミキリによる虫害の深刻な被害地であり、年間約3,000㎥程度の丸太の生産が行われますが、このうち7割は低質なC材としてチップなどに利用されています。そのため、この低質に扱われる虫害材を単なる低質材として扱われない、新たな木材需要を開拓することが課題でもあります。小田原市ではそうした虫害材を基金材として確保しており、本計画はその虫害材を有効活用した内装木質化です。
1階では、地域に開かれた学校とするために昇降口まわりの空間を一体的に木質化し、地域の自治会と共同で利用する多目的室を新設しました。2階〜4階では、単調な廊下にポケット状の空間を設え木で包まれた新しい居場所としました。教室と廊下のパーティションは既存フレームを再利用して木質化しています。
場所 : 神奈川県小田原市
設計 : マチデザイン・Poten-Poten・ハラヒロカズアトリエ共同事業体
施工 : 小田原市建築事業協同組合(株式会社五神建設、加藤建設株式会社)、一般社団法人箱根物産連合会(いぶき会)
面積 : 5,789m2
竣工 : 2020年9月
写真 : 白井洋平